前回までのあらすじ
涙涙ですりつぶした唐辛子と根気で皮を剥いた柚子、2つの素材が合わさってようやく完成したのは200個ほどの柚子胡椒でした。さて、どう商品化につなげて行こうか。
http://sato-beni.com/2021/04/12/吹屋の紅だるま製作日記%E3%80%80その3/?fbclid=IwAR2VILsQfsuumeN1CPasKP4yooK8uPpeZt4U3fTpWYynDHMITN5Eo3Y7CfY
「ベンガラ柚子胡椒でどうじゃろう!?」ある人が言った。
ベンガラは赤色の顔料で優れた防腐・防錆効果によってさまざまな分野・用途で用いられた。吹屋を語り継ぐ昔話に銅山とベンガラは欠かせない。
吹屋は良質なベンガラが取れると全国から注文が殺到し、町に富をもたらした。
そんな吹屋を代表するベンガラを柚子胡椒の名前にしようという案が出た。しかし、ベンガラの知名度は吹屋を出てしまうと知名度が低く、若い人はあまり知らない。
吹屋から飛び出しても認知してもらえるいいネーミングはないものか。。。
私は、出来立ての柚子胡椒を手に自慢がてら色んな人に見せることにした。
備中県民局高梁地域事務所の一階にあったうどん屋「つなしま」
惜しまれながら閉店した、もちもち手打ちうどんが味わえる職員向けの食堂である。一般の人でも食べることができ、市民の間では隠れ家的存在であったうどん屋さん。
カウンターでおぼんをとり、私はいつもの天ぷらうどんを注文。
手際良く揚げられたかき揚げとおにぎりとうどんを受け取る。
ランチタイムは空席を探すのも大変な繁盛ぶりのつなしま。なんとか席を確保し、食にうるさい市役所職員の徳田さんに丸い瓶に入れた柚子胡椒を見せた。
徳田さんは熱々のうどんに柚子胡椒をどさっと入れ、「うむ。悪くない・・・」と高評価。
名前が決まっていないことを伝えると、丸い瓶をジロっと見ながら、
「丸くて赤いし、だるまっぽいから、赤だるまとか紅だるまでいんじゃない?」と一言。
吹屋の紅、柚子胡椒の紅、ダルマの紅が繋がり、可愛いだるまに入った柚子胡椒のイメージが電流のように流れた!雷にでも打たれたかのような衝撃だった。
「吹屋の紅いダルマで吹屋の紅だるま!リズムもいいし縁起もいい!最高です!!」
このだるまを通して、過疎・高齢化に悩む吹屋の繁栄にも繋がればと思った。
こうして、「吹屋の紅だるま」は誕生した。
徳田さんと出会い、つなしまでうどんを食べ、柚子胡椒を四角い瓶とかタッパーではなく、丸っこい瓶に入れていたから生まれた偶然の産物「紅だるま」。今思えば、本当に偶然。
うどんを食べてから、私の頭の中はだるまがグルグル。寝ても覚めても車の中もだるまの事で頭がいっぱい。さて、どんなデザインのだるまにしようか。。。