吹屋の紅だるま制作日記 その1

少し更新が滞っておりました。当店のブログ。本日より、毎週更新していきたいと思います。


私と紅だるまの出会ったのは今から6年前の2015年の秋でした。
当時、私は地域おこし協力隊として、イベントの企画や地域団体と一緒に町並みの活性化に向けて活動していました。

その日は吹屋の地域団体の代表宅で会議という名の飲み会。会議も1時間ほどしたら、代表の「こんなもんでえかろぅ、もぅ飲もうや」を掛け声に鉛筆を持つ手がビールに変わり乾杯。

乾杯の合図とともに、奥さんが手際よく作った鍋や手料理などが出てきて、机の上があっという間にご馳走で埋め尽くされた。

そんないつもの会議風景。

いつもの違ったのはこの後。
家の主である代表が「うめぇもんがあるんじゃ!!」と円卓の食材をガッと寄せて、コーヒー瓶(粉が入っている四角い瓶)をドンと置いた。
中には見慣れない真っ赤な何かが入っていた。

「この赤いのは辛いけどうめぇんじゃ!」と瓶の中身は友人が作った珍しい赤柚子胡椒だと教えてくれた。

柚子胡椒、九州地方のご当地調味料で柚子の皮、唐辛子、食塩からなる3つの材料で作られるシンプルな調味料。一般的には緑色で肉料理や刺身、鍋などに使われる。

しかし、テーブルの主役となったコーヒー瓶の柚子胡椒は目が覚めるような赤色。そんな色の柚子胡椒があるなんて、見たことも聞いたこともなかった。さらに、蓋を開けると爽やかなゆずの香りが部屋中にブワッと広がった。

塩っ辛くて風味のない、コンビニでおでんを買った時についてくる緑色した柚子胡椒。 それが当たり前だった私は、新感覚の見たこともない柚子胡椒に興味津々だった。

「あまり入れると辛いぞ!」という注意も聞かずに、ティースプーン山盛りを自分のお椀に溶かしてみる。みるみる汁が赤くなり、お椀もゆずアロマ発生装置となった。 お椀から発生したアロマを鼻でめいっぱい吸い込み、恐る恐る一口・・・。

「辛い!旨い!!これが本物の柚子胡椒か!」

次第に顔が紅潮し、汗が噴き出し脳天からはモクモクと湯気が出た。 額の汗が繋がり、滝の様になった頃、周りを見回すと他のメンバーも滝になっていた。

それまでの会議の内容も汗とともに流れてしまい、「この赤い柚子胡椒を町の特産品にしよう」ということだけが満場一致で決まり、大汗をかいた男たちは乾杯した。

2015年秋、赤い町の柚子胡椒作りが始まった。